彼岸

3月 19, 2022

お彼岸とは

彼岸(ひがん)という言葉は、古代インド語のパーラミター(波羅蜜多)が語源で、「彼の岸へ至る」ことを意味します。
煩悩や迷いに満ちたこの世を此の岸「此岸(しがん)」に対し、悟りの世界・仏の世界を彼の岸「彼岸」といいます。
到彼岸(彼岸へ渡る)は大乗仏教における悟りの境地を表します。

お彼岸と六波羅蜜

この世に居ながら彼岸に至る(悟りの境地を得る)ための実践として、六波羅蜜(ろくはらみつ)という教えが説かれています。

布施波羅蜜(ふせはらみつ) 他者へ精神的・物質的施しをすること

持戒波羅蜜(じかいはらみつ) 戒律(いましめやルール)を守ること

忍辱波羅蜜(にんにくはらみつ) 耐え忍ぶこと

精進波羅蜜(しょうじんはらみつ) 精進努力すること

禅定波羅蜜(ぜんじょうはらみつ) 心を安定させること

智慧波羅蜜(ちえはらみつ) 真実を見る智慧を働かせること

この六波羅蜜を実勢することを六波羅蜜行と言います。
お彼岸は、ご先祖様に感謝する期間であると同時に、六波羅蜜の実践を通して、自分の生活を見つめなおす期間でもあります。

春彼岸と秋彼岸

彼岸は春、秋の年に2回やってきます。春分の日をと秋分の日を中日として、前3日間、後3日間、あわせて7日間です。

春彼岸、秋彼岸はそれぞれ春分の日、秋分の日を中心とします。
春分の日と秋分の日は昼夜の長さが等しくなるため、仏教伝来以前から自然や農耕への感謝を行う祭祀が行われたことに由来すると考えられています。

仏教の伝来により意味合いが変化していきます。
昼間をこの世(此岸)、夜間をとあの世(彼岸)と捉え、昼夜の長さが等しくなることから、あの世(彼岸)にいらっしゃるご先祖様と、この世(此岸)にいる私たちの距離が近づき、ご先祖様を感謝し供養する機会となっていきます。

春彼岸
春彼岸は3月のお彼岸を意味します。春分の日を中日(ちゅうにち)として、前後3日間の計7日間が春彼岸です。
初日を「彼岸の入り」といい、最終日を「彼岸の明け」とします。

秋彼岸
秋彼岸は9月のお彼岸を意味します。秋分の日を中日(ちゅうにち)として、前後3日間の計7日間が秋彼岸です。
春彼岸と同様に、初日を「彼岸の入り」といい、最終日を「彼岸の明け」とします。

お彼岸には何をする?

お彼岸は、ご先祖様に感謝の思いを伝え、自分を見つめなおす期間でもあります。

仏壇に供物を供えて手を合わせ、墓参りをし、ご先祖様への感謝の気持ちをお伝えしましょう。彼岸にあわせて執り行う彼岸会(ひがんえ)をお勤めするお寺様も多くあります。ご住職様が皆さんに代わってご先祖様を供養してくださいます。

また、六波羅蜜の教え全てを実践するのはとても難しいことですが、自身を見つめ、一歩ずつ実践することも大切です。

お彼岸のお墓参り

お彼岸にはお墓参りをされる方も多いはずです。彼岸の期間、寺院や霊園には多くの方がお参りに訪れます。
特に彼岸のお中日に当たる、春分の日、秋分の日にお墓参りされる方が多いようです。混雑も予定されますので、時間には余裕を持ってお参りするのが良いでしょう。

お彼岸と「ぼた餅・おはぎ」

お彼岸のお供え物として「ぼた餅」「おはぎ」を支度される方も多いはずです。
「ぼた餅」「おはぎ」は見た目や味も似ていることから、混乱される方も多いようです。「ぼた餅」と「おはぎ」は、それぞれ春と秋の花を表わします。

ぼた餅
春彼岸には春の花、牡丹(ぼたん)にちなんだ「ぼた餅」をお供えします。

おはぎ
秋彼岸には秋の花、萩(はぎ)にちなんだ「おはぎ」をお供えします。

「ぼた餅」と「お萩」は見た目もよく似ていますが、一般的には春彼岸に供える「ぼた餅」はこし餡で作り、秋彼岸に供える「おはぎ」はつぶ餡で作るようです。

その他、ご先祖様が好きだったものや、季節のものをお供えするのも良いでしょう。

お彼岸のお供え物である「ぼた餅」「おはぎ」からも、自然への感謝の思いも込められた様子が伺えます。

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